ここではカエデ古樹の改作を紹介したい。 改作といっても枝の作り替え。 長い間、ボンサイ仕立てとして管理されてきたカエデには、必要な作業のひとつである。 カエデは樹勢が強く、鋏での切り戻し(新梢)は年間4~5回も行えるほど次々に芽が吹いてくる。 新芽が伸びて、鋏で切り戻しながら作るのがカエデの基本作業である。 梅雨前から夏(8月)にかけて、この切り返しと同時に葉刈りをかけることも多い。 葉刈りすると枝の様子が判るため、ここで新梢に針金掛けをするのが普通である。 ともすると、この強い樹勢が逆の効果となることがる。 次々に吹き、鋏でそれを切り返していくため、枝の岐れた部分がゴツくなる。 何回も切り返せるから小枝は増えるが、枝が不規則に太くなることも多い。 そこで、秋の強い剪定が欠かせない。 春~夏までくり返して作ってきた枝岐れなどを、秋に鋏で切り返すのである。 特に強い部分は徹底して切り戻す。 場合によっては、春から作ってきた枝のほとんどが強くなりすぎて使えないこともある。 鋏作りの小品のカエデの枝は急速に太るものではないが、押さえながら作ることも必要。 切り込みだけでなく、葉数を減らすこともよくある。 カエデは、座などに魅力があるが、枝が荒く繊細でなかったため、強い切り戻しをして枝を作り替えた。 94年の5月にその枝の改作が行われている。 まず正面から見て幹の右側の枝は強く立ち上がり気味である。 流れの反対側の枝であるから、できればやや引き下げてコンパクトに作りたい。 流れの逆側の枝は、幹に近く、そして小さな枝つきにした方が風情が出る(短く太い枝でもよい)。 短枝であっても、枝先部分は細くやわらかく仕上げたい。 |