針金かけ整姿は樹への基本的なしつけ作業である。 しかし待てば樹はやがて、その強制を克服する。 改作、大胆な針金かけや剪定は、樹姿を一変させる醍醐味がある。 ボンサイづくりにおけるもっとも派手で晴やかな一面である。 とくに長く放置されたボンサイや、手入れが不適切であったために樹姿が乱れてしまったものは、改作や整姿によって、一時的に見違えるようになる。 こうした作業は基本どおりに的確な処置をしておかなければならない。 ただこうした作業直後の樹姿は、どうしても人為的な痕跡が残り、ボンサイ本来の白然感を取り戻すには、時間を要する。 とかく間違われやすいが、プロが改作を行い、整姿したばかりの樹姿をもってその腕前を判断するのは早計である。 あくまでも整姿後の培養を経て、葉組みがほぐれ、人為の痕跡がうすれ、白然感を取り戻す期間をプロは想定しているのである。 このことは強調しても強調しすぎることのない事実である。 植え替えを含め、整姿剪定を適切な間隔をおいて行うことによって、徐々に樹勢の平均化を計るのがボンサイづくりの本質である。 そのことによって、徒長枝も出なくなり、日々の手入れも簡略化してくるのである。 |