約3年の間、柱に樹勢をつけるために枝を伸ばしていたのが作業前の姿である。 いいかえると、手があまり入っていない状態で、頭部が強く枝の内部はやや枯れ上がってきている。 この状態を蒸れるといい、外側外見では元気よく育っているように見えるのだが、鉢植えでは難かしい問題なのである(切り込みたくとも葉がないので追い込めない)。 もしこのまま数年おけば、混み合った下枝などは樹勢を落とし、枝枯れすることは間違いない。 作業は、スプレーガンを用い幹や舎利の清掃から始まる。 枯れ枝(古葉)などを取り舎利をよく見えるように出して、細部の検討をするためである。 細部まで汚れを落とし、舎 利などは、この時に石灰硫黄合剤を塗って、見どころ部分を明らかにしておくのも作業が判りやすくなる。 舎利の具合(流れや向き)がネズミサシの場合、樹形を見るのに大切な要素になるからである。 正面は作業前の角度からやや背後に、そして流れの方向に傾ける。 前にかがみすぎているので、それをやや背後に起こし、流れの方向は右なのでやや右に傾けている。 右流れは、神の方向にしたがい決定したものである。 現物のく新正面の角度Vが主に神の動きによる変化。 作業前の樹高は繁った状態で47鯏。 新正面を決定し作業にとりかかる前の予定の樹高は現在よりも数㎝ほどコンパクトにまとめるという構想である。 |