一曲ある素材からの小品鉢植え作りの順序は。 ①基本となる曲のどの部分が必要かを決める。 ②取り木前にある程度芯立て等作業して頭部付近を作る。 この作業の手順は。 a、肥培して樹勢をつけておく。 b、6月ごろ上部を切断する。 c、目的の曲の部分にアタリ芽を持たせる。 d、芯位置を決め、第→節を短く止める。 芽の方向を針金で決める。 e、一節が短く止まったら走らせる。 エンピツの芯くらいの太さの時曲付けをしておく。 しかしこの芯は何回も立て替えるので、将来の頭部になるわけでない。 (後述) f、走らせた芯下の切断部の傷口の巻きに注意しておく。 (後述) ③ある程度上部ができたところで取り木をかける。 最初の切断から2年程上部作りしてからでもよい。 芯立てと樹勢を引張ること 上現物は取り木をかけ、鉢上げして、芯立て後走らせるところである。 芯を走らせる場合、その基部は傷口を巻かせる役目もしている。 したがって、余り強く上に樹勢を引張ると、傷口の巻き方も強くゴツゴツになりやすい。 樹勢を上に逃がしながら、傷口の巻きを見て巻かせていく必要がある。 傷口はカットパスター等で保護してあるが、芯立ての枝のちょうど下あたりから巻いてくる。 カットパスターがひび割れるようになると巻いてきた証拠であるから、そうなったらパスターを少し取った方が、薄くきれいに巻く。 このあたりの加減が少々難しい。 骨格と枝は、畑作りから10年。 接木の野梅があるとしてこの性は花が付くと葉が大き目になり、葉芽が残りやすく作り易い。 骨格、枝基部はできているので、枝作りの段階である。 さてこの素材を人手したと仮定し具体的な栽培の一例を記してみたい。 ①まず花後に植え替える。 赤玉主体の用土を用いて、肥培する。 ②枝作りの場合、葉芽を確認し花後に剪定する、左側―の枝は外芽、外左側面。 枝棚部分を上から見る、外芽で切る、差し枝的に少し仲ばしたい、右側の枝や頭部は方向を考慮する、左側下から二番目の枝は喰い付き的に考え、戻しの方向など、内芽で切る小枝と組み合わせる。 ③強く伸びる枝は、芽摘みする、2~3芽残し瓜で切る、先端は葉芽となる、左側のIの枝のように伸ばしたい場合、芽摘みしないで伸ばしてもよい。 目的の太さで先端を止め、弱い芽の充実を計る。 そして5月初~中旬に枝基部の葉2~3枚の葉を取る。 その部分は葉芽となる。 翌春、芽の方向を見て、そこまで切り込める。 梅選びのコツは、素材の選択は、まず葉芽の多くあるものを選ぶことが第一。 次に枝棚 がしっかりできている素材を見分けることも重要である。 樹形の良否も大切であるが、できれば枝基部を畑作り段階で作ってあるものが良い。 鉢作りでは、太い充実したシュート状の枝は期待できないので、盆樹の作りは、枝岐れなどが中心の樹作りが多くなる。 しかし、雑木作りの要領で樹勢を付け、葉刈り、芽摘みなどで樹形の骨格を作ることも必要である。 中品、斜幹樹形の場合であるが、中品の樹は品種が紅雀や野梅系紅筆性などで少し受け咲きで、小品~中品に向く。 枝は長く鉢作りして枝が細くなっても葉芽が残り、枯れあがりにくいが逆に太りにくく、甲州野梅の半分程度である。 左側―の枝の基部は畑作り段階で作られている。 そこから出る枝は、鉢作りとなる。 外芽での切り戻しと、逆に内芽で切り、小さな曲を付けて微妙に組み合わせている。 このギクシャクした部分の作りの解説を以下に記す。 ①芽摘みをせずまず伸ばしそして目的の太さで切り込み葉刈りする。 ②葉刈り後伸長する2番芽は花芽は付きにくいので強く伸びる場合は芽摘みや、先端をかきとる。 先端は次々と葉芽になり、ゴツゴツとなることもあるがこうして芽方向を考え太りと小さな曲を同時に作っていく。 枝作りのための枝は、伸ばしたものは短くつめて作りたい部分が複雑に組み合っているため、表現は難しくなる。 しかし雑木の感覚で、芽摘み、切り込みで枝作りすることには変わらない(古樹となった盆梅については別の問題もでてくる)。 斜幹樹形も、梅には珍しいが、おもしろいものである、素材においても、切り戻しをくり返し、しかも外へ外へと大きく振っている。 苗段階での多少の曲は太るにつれ消えてしまうので、内側への切り戻しより、外側へ倍以上振る必要がある。 |