縁日や植木市で購入する楽しみは格別のものがあります。 小品ボンサイとして売られているものの他に、いわゆる鉢植えのもので改作すれば素晴らしいものになる掘り出し物に出合えるかもしれません。 これは園芸センターを訪ねる場合も同様で、根張り、立ち上がり部分を吟味して見てまわるのも楽しいものです。 また、取り木の容易な樹種については、幹や枝の上部を観察する必要もあり、長寿梅のように根伏せの効くものでは、鉢の中で思わぬ模様をもったものがあるかもしれません。 ボンサイあるいは小品ボンサイの専門店で購入する場合、現在ではだいたい小品ボンサイには値段がついていると思いますが、もし値札がついていなくても、はずかしがらずに堂々と値段を聞くようにします。 縁日や植木市で値切りながら買う楽しみは別ですが、専門店で商品として並べてあるものの値段を聞いてはずかしいことはありません。 予想外に高額であっても"どこにこの樹の価値があるのか、この樹の見所は何なのか"を聞くことによって、かえって勉強になるはずです。 もし、値段を聞いてもはっきりした返事をしないようなら、注意すべきです。 ボンサイの素材を選ぶときの注意点として、第一に根張り・立ち上がり、第二に幹模様、そして枝付きという順序で検討するよういわれています。 この順序は、ボンサイをつくっていくときの順序に相当します。 つまり、家を建てるのと同様、まず基礎である土台をつくり、そして柱を立て、骨組みを築くわけです。 もちろんボンサイは生きものであるので、完全に根張り・立ち上がりをつくってから幹づくりにとりかかるというものではなく、根張り・立ち上がりづくりをしながら徐々に幹づくりも行い、幹づくりを行いながら徐々に枝づくりにもとりかかる、など併行して行う性質のものです。 しかし、この順序は、ボンサイづくりの基本的な考え方として知っておく必要があります。 要する時間に程度の差はあっても、どのような樹形もすべてこの順序でつくられるものです。 標題のどこからボンサイづくりを始めるか、ということは、実生や挿し木などのように根張リ・立ち上がりづくり(土台づくり)から始めるか、鉢植え素材の改作のように、根張り・立ち上がりはすでにできているものを用い、幹や枝づくりから始めるかという意味を持 っています。 |