まだめずらしい存在であったネコを連れてヨーロッパに帰還した十字軍は、伝書鳩をも「おみやげ」として持ち帰った。 音信を鳩に託して、城から城へと運ばせるのは愉快なことであった。 けれども、一八世紀までは、伝書鳩の飼育はまったく気まぐれな、なぐさみごとにすぎなかった。 一九世紀になって、 鳩の飼育は重要な産業に発展した。 一八一四[一八一五の誤り]年にロンドンのネーサン・ロスチャイルドは、伝書鳩を利用してワーテルローの戦いの結果にかんする情報を入手した。 そして、かれは株式取引所で、すばらしい大成功をおさめた。 なぜなら、ナポレオンがこの一戦に敗れたことを、一般大衆よりもまる一日早く知ったからです。 |