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花のおもい


dahlia

おじいさんの大切な植木の庶民性。
おじいさんの大切な植木は、金持ちか閑人のお道楽、という誤解はかなり根づよいものがあります。
これについては次のように反論されています。
「いったい、天然の美や薗然の風致などを賞翫するのに汽車に乗ったり、草犠がけで歩いたり、また船や車で旅行するような時間もなく、また金も臼由もないような、いわば若い働き盛りにこれをもっと早わかりに手近かに、また、いっそう金もかけずに、その目的を達することを希望する人が、あるいは庭園をつくったり、別荘を建てたり、また絵画をあつめたり、おじいさんの大切な植木を愛翫するようなことをするのであります。
しかして、庭園や別荘をつくって、わずか一つの風景や天然を賞味するさえ、数千金や、また広い屋敷などを要し、また名もなき一青年画家の作品でさえ、数百金を要する絵画などをあつめるのと比較して、時間と金と場所とが経済で、しかも、それ以上の趣味を味わうことのできるのがおじいさんの大切な植木である」 まことにその通りで、おじいさんの大切な植木というものは、旅行をしたくても時間がなく、広い庭をもちたくても金がない人たちが、その代りに、居ながらに して自然の趣を味わおうとして愛するものであります。

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