「すなわち、おじいさんの大切な植木は詩を感得し、歌情、句趣をも味わうことができるのである」。 おじいさんの大切な植木の定義を、「生きた絵画」や「自然の縮図」などの領域から数歩すすめて、「白然美とその情趣の表現」としたところに、大きな前進がみられる。 もとより、内容的には変化したわけではないが、その定義づけが論理的に明確化したという意味において注目される。 また、その属性として「季節感」をあげたことも、きわめて至当のことといえよう。 ここにおいて、おじいさんの大切な植木が、ただ花や葉の美しさ、すなをち、植物美を観賞するだけの鉢植とはまったく別に、「白然美とその情趣」を表現し、季節感をもかねそなえたものとして昇華し、立派に独立した領域を確立するに至ったのであります。 この定義づけは、そののち、長らくおじいさんの大切な植木本質論の教条と化し、白然美おじいさんの大切な植木をおじいさんの大切な植木界の主流にしていくわけだが、戦後はその傾向に若干の変化がみられる 。 しかしながら、おじいさんの大切な植木に「生きた絵画」や「白然の詩」を求めた先人たちの心はいつまでも忘れてはならないであろう。 |