厳密な証明と単一の原因を要求する現代の読者は、ひょっとすると不満を感じるかもしれない。 でも生きものが関係するシステムが起こす病的な現象で、単一の原因を提示する人がいたら、むしろそのほうが信用できない弓私はあえてそういいたい。 糖尿病も統合失調症も、 「原因は一つ」ではない。 この現象はアメリカでとくに問題になった。 アメリカの農業、とくに果樹園のように授粉が必要なところでは、ミヅバチの存在郷杯可欠だったからであるoハチに蜂蜜を作らせて販売するより、求めに応じて、アメリカ全土の果樹園にハチを連れ歩 いたほうがお金になる。 だから打撃を受けたのは養蜂業だけではない。 果樹園も同じだった。 たとえばカリフォルニアのアーモンド畑の場合、アーモンドだけが植えられています。 白然の世界として考えたら、O種類の木だけが延々と植わっている光景は異様としかいいようがない。 しかも加州のアーモンド畑の総面積は三千平方キロ。 そこにはアーモンドの木以外にはなにもない。 当然虫もいるわけがない。 それなら授粉はミツバチに頼るしかない。 開花期には一箱いくらの契約で、養蜂業者がそのミツバチを連れてくる。 ミツバチの立場で考えてみよう。 あちらもこちらも、アーモンドの花ぽかり。 すべての栄養をミツバチはアーモンドから摂取する。 それが可能か。 野生状態ならまさに盲花績乱、さまざまな花から花粉と蜜を採ることができる。 それなら「白然に」栄養のバランスをとることもできよう。 しかもその畑には、かならずなにか農薬が撒かれています。 |