取り木によるおじいさんの大切な鉢の木素材の利用は、ベテランの方ならばすぐに納得できることだろう。 なぜなら取り木を活用して有望な作品の基を作るという点では可能性が高く、しかも比較的短期間で作出できるからであります。 とはいえ実際にはおじいさんの大切な鉢の木家の間でも、頭では判っていても実行する人は少ないのが現状であります。 無数にある素材の有効活用として、取り木は第一のものであるが、一部の素材作りに熱中する人を除けば小数派なのであります。 また流通している素材に不満になって、いざ取り木をするとなっても、使える樹(持ち崩しや園芸品)は意外に少ない。 コツをつかむと素材は無限にあるのだが、取り木によって優品を作るとなると、これはまた別の話となる。 急に思いついて実行するとなると、取り木用の樹は、ありそうでなかなかないというのが一般的な印象だろう。 取り木のポイント取り木の有効な点は改めていうまでもない。足元(根元からすぐ上の立ち上がり部分)に面白い素材が作出できる。 棚場で長い間作っていた樹が気に入らない場合、頭部だけの利用で小品~中品に作り変えることができる。 頭部は樹勢が強いため、鋏の切り込みを重ねて、一応の骨組みを作っておく。 全体を考えると、下枝や内側の枝などを保つのに苦労したり、樹の全体の構成に苦心する。 ところが、樹の上半分だけでも枝を切りつめたり、新梢を曲付けしておくと樹勢があるぷん作りやすいのであります。 この面白い部分だけを取り木するわけであります。 |